旅行記を書いてた筈がなんか西成について語ってた
福岡に野暮用があり、行くことになった。
しかし、東京から福岡は、遠い。
遠いというのは、つまりお金がかかる。
名古屋や大阪なら夜行バスで安く夜間に行けるが、福岡ともなるとそうもいかない(あるにはあるが、それ相応に高いしキツい)。
最近はLCCという便利なものもあるが、時期的にそこまで安くなかった。
ということで、東京から大阪まで夜行バスを使い、さらに大阪から福岡まで夜行フェリーを使うことにした。
こうすると、夜行バス2500円(時期によって変わるが)+フェリー5000円(学割)と、安い。
まあ時間の面では、東京を23時に出て、翌々日の6時に福岡(北九州)に着くというスローライフをかましているので、値段相応と言ったところだろうか。学生のうちにしかできなそうではある。
それと、この旅程は大阪で1日遊べるのが大きい。自分は西成区を徘徊するのが好きで、関西に行くたび必ず徘徊しているのだが、夜行バスが難波まで行くこともあってそのようなニーズにも最適であった。
ということで、旅行記。
22:50 東京駅鍛治橋駐車場発
バスはほぼ満席だったが、ブランケットがあったので割とよく眠れた。
起きたら京都だったのでよかった。ただし死ぬほど喉が渇く
8:10 なんば着
大阪のミナミに着く。ここからさらに南下していく。
日本橋や新世界を過ぎ、10時頃にあいりん地区に突入。
★モーニング★
モーニング西成 350
生ビール/酎ハイ・味玉子・昆布煮
早速これである。最高。
その後スーパー玉出に行って天麩羅(48円)を食ったり、
暑かったので三角公園の片隅で売ってたTシャツ(200円)をゲットしたり、
泥棒の存在を完全に諦めている銭湯で体を洗ったり、
(写真を撮ったら怖い人にしばかれるらしいので撮れない)
飛田新地で無限に客引きをされながらうろついたりした。
そんな感じで適当に街を見て回ってから、居酒屋に入り、酎ハイ片手に焼き鳥を食う。
周りは皆高齢者である。
すでに酔っ払っていることもあろうが、彼らは本当に色々な話をしてくれる。
30代までは真面目に働いていたがギャンブルに身を持ち崩した、家族に借金をしすぎて縁を切られて最終的にここに流れ着いたなどの赤裸々な身の上話から、自分のような若者に対して「ちゃんと安定した仕事につけ」「女遊びは絶対にやめろ」といった説得力が凄まじいアドバイスなど、近い距離から、噛みしめるように語ってくれる。
勿論彼らとて人に言えないような過去や思想があろうが、彼らとのコミュニケーションには「壁」のような物を感じない。
「壁」というのは、自分語りをしないという方面にも、他者の自分語りを拒絶するという方面にも働く。そういった点では、所謂相互承認の対極にある概念かもしれない。
あいりん地区というのは、先述したようにここに「流れ着いた」人々によって構成されているコミュニティである。少なくともその流れ着くまでの「軌跡」には、かなり豊かな多様性があると考える。(それこそ「勉強に理解のある両親のもとに産まれる→名門塾→進学校」といった軌跡を辿っている人間が大多数を占める名門大学とは違って)
そういった多様性の中で、それら全てを認め、包摂するといった感情が、人々の中で組み上げられていく。それは、恐らく自らの幸福追求にあたっても不可欠なことであろう。
そういった人々によって、あいりん地区という一種独特なコミュニティは成り立って(?)いるし、そういったコミュニケーションこそが、複雑性を捨象した、ある種人類本来のあるべき姿なのかもしれない。
実際、昼間から自分達と飲んでいたような人々は、少なくとも現状においては幸福そうであった。幸福追求の基盤としてのコミュニティが、ある種最適解を導き出していた。将来に希望があるかもしれないが少なくとも現状においては不幸そうな大学の人々(自分含)とは、対照的だ。
それが、自分がこの場所に興味を持つ理由であり、ある種の魅力すら感じてしまう理由だと思う。
まあ、無知な若者が単なる物見遊山のような感じで行っている後ろめたさからくる後付け理由という説もあるが。
そういった感慨を胸に、新今宮から南海本線に乗って泉大津へ行く。
(つづく)(たぶん)
フーくん
ケイちゃん
スーパーポンポコジャガピーにしなりくん